破産(自己破産)

自己破産の概要

破産(自己破産)」は、債務者が支払不能となった場合に、債務者の財産を処分して、債権者に公平に分配する手続です。地方裁判所への申立てにより、手続が開始します。債務者自ら破産を申立てることを、一般に「自己破産」と言います。

破産手続が開始されると、債務者は「破産者」となります。

破産手続開始・破産手続同時廃止

破産者が財産を所有する場合、破産手続において「破産管財人」が選任され、その管理・処分などを行います。

破産者の財産を処分しても破産手続費用さえ捻出できない場合は、処分・分配手続は行われません。破産手続開始と同時にその後の手続が廃止されるので、「破産手続同時廃止」といいます。なお、個人の自己破産の圧倒的多数は、破産者に見るべき財産がないため、破産手続同時廃止となります。

免責許可

自己破産をしても、分配額が債権額に満たない場合や破産手続同時廃止の場合は、債権者に支払うべき債務が残ります。この場合、裁判所から「免責許可」を受けることで、その支払い義務を免れることができます。

免責許可を受けた時点で「破産者」ではなくなります。破産手続同時廃止の場合、「破産者」である期間は、平均すると2~3ヶ月しかありません。

まとめ

一般に、個人の方は、破産後に免責許可を受けることで、借金の支払いから解放され、生活の再建をすることができます。

自己破産のご依頼・ご相談

当事務所への自己破産のご依頼・ご相談については、当サイト債務整理のご依頼・ご相談をご覧下さい。

自己破産のデメリット

自己破産のメリット・デメリット
メリット
  • 免責許可をうけることにより、債務の支払いから解放される
デメリット
  • 高級自動車や不動産などの財産を失う
  • いわゆる「ブラックリスト」に登録され、一定期間(5~7年)借金できない
  • 免責許可を受けるまでの間、生活上の制限をされる場合がある

生活上の制限

上記の表に挙げた「生活上の制限」には、以下のものがあります。

  1. 公私の資格制限弁7民653II保279など)
    • 弁護士や司法書士などの資格を失うことになったり、会社の役員の資格を失います。また、保険外交員や銀行員・警備員など現在の職業が金銭管理に関わる場合、業務を制限される場合があります。会社に匿名で問い合わせるなどして、破産した場合の不利益を事前に知っておく必要があります。
  2. 居住の制限破37
    • 裁判所の許可がなければ、申立て時の居住地を離れて転住したり、長期の旅行をすることができなくなります。
  3. その他破38~41

上記の生活上の制限を受けるのは、「破産者」のみです。免責許可を受ければ、これらの制限は解除されます(復権)。破産手続同時廃止の場合、生活上の制限がされるのは 2~3ヶ月だけです。

自己破産に対する誤解

自己破産のデメリットは上記に挙げたものだけです。自己破産したからといって、次のような不利益を受けることはありません。

  1. 一般の人や勤務先に知られることは、ほとんどありません。
    • 自己破産すると「官報」に掲載されますが、一般の人や普通の会社が官報を見ることは、まずありません。
  2. 勤務先に自己破産したことが知られても、退職する必要はありません。
    • 自己破産したことのみを理由にする解雇は、法的に許されません。
    • ただし、生活上の制限(公私の資格制限)により、職を失う可能性はあります。
  3. 賃貸人から、賃借アパートや借地の明け渡しを求められることはありません。
    • 契約書上「賃借人が破産した場合は、賃貸人は賃貸借契約を解除できる」旨の条項があっても、その条項は無効と解されています最判S43.11.21
    • ただし、賃料不払いにより契約を解除されることはあります。
  4. 家財道具などの生活必需品を差し押さえられることはありません。
  5. サラ金(消費者金融)業者などが自宅に押しかけることはありません。
  6. 破産しても、戸籍や住民票に記載されません。
  7. 選挙権などの公民権が奪われることはありません。

免責許可の要件・効果

自己破産をする場合には、「免責許可を受けられるかどうか」が重要です。自己破産しても免責許可がなければ、支払義務がそのまま残ってしまうからです。

自己破産に至る原因や行為などが反社会的で悪質な場合、免責許可を受けることができません。このような原因・行為などのことを、「免責不許可事由」と言います。

また、免責許可を得られても、政策上の理由や被害者保護の観点から、免責されないものがあります。これを、「非免責債権」と言います。

破産者が免責許可を受けても、連帯債務者や保証人・物上保証人などの支払義務は免責されません破253II

免責不許可事由

主な免責不許可事由は、次のとおりです破252I

  • 破産手続によって処分・分配されるべき財産について、隠匿や損壊などをした場合
  • 浪費やギャンブルによって、著しく財産を減少させた場合
  • 裁判所に虚偽の債権者名簿を提出した場合
  • 裁判所が行う調査について説明を拒んだり虚偽の説明をした場合
  • 過去7年以内に、破産して免責された場合や、給与所得者等再生による再生計画が認可された場合

上記の事由が存在するからといって、直ちに免責不許可になるわけではありません。裁判所が事情を考慮して、免責を許可する場合があります破252II

非免責債権

主な非免責債権は、次のとおりです破253I

  • 租税などの請求権
  • 不法行為(器物損壊・交通事故など)に基づく損害賠償請求権
  • 養育費の請求権
  • 給料の請求権
  • 破産者が知りながら債権者名簿に記載しなかった債権者の有する請求権
  • 罰金などの請求権

自己破産か個人再生か

自己破産に支障がある場合

多重債務者が支払不能になった場合、債務整理の方法として自己破産を選択するのがベストですが、下記の場合は、問題が発生します。

  • 住宅ローンの担保にしている居住用不動産(住宅・敷地)を手放したくない場合
  • 公私の資格制限により、業務が制限される場合
  • 免責不許可事由が存在する場合

自己破産をすれば、破産者の所有する不動産は処分・換金されることになります。また、公私の資格制限により業務が制限される方は、失職して収入が途絶えてしまいます。免責不許可事由が存在する場合は、破産しても免責許可を受けられず、支払い義務が残る可能性があります。

個人再生による支障の回避

このような場合、個人民事再生(個人再生)の利用を考えることになります。個人再生においては、「住宅資金特別条項(住宅ローン特例)」を利用して、居住用不動産を手放すことなく、住宅ローン以外の債務を大幅に減額することができます。また、個人再生においては、自己破産の場合のような公私の資格制限がありません。多重債務に陥った原因や行為も問題とされないため、免責不許可事由の有無に関係なく個人再生手続を進めることができます。

ただし、個人再生の利用条件として、「収入」や「残存債務総額」などに関する要件があります。無職の場合や残存債務総額が高額となる場合などは、個人再生を利用することができません。

また、個人再生手続後も債務が残りますので、再度支払不能になる可能性がある場合は、選択できません。居住用不動産を手放したくないといって、返済能力を考えずに個人再生に執着することは、却って事態の悪化を招きます。専門家の意見などを参考にしながら、冷静かつ慎重に、手続を見極めることが重要です。


業務案内