総会開催の前提知識(決議)
イントロダクション
総会の議決権
マンション管理組合の総会の決議は、組合員が議決権を行使して多数決決議を行います。
各組合員の議決権は、原則として「専有部分の床面積割合」によりますが、規約で「別段の定め」をすることもできます。
住戸番号 | 床面積(m2) | 議決権 |
---|---|---|
101号室 | 70.25 | 30万分の7025 |
102号室 | 75.50 | 30万分の7550 |
103号室 | 80.25 | 30万分の8025 |
… | … | … |
合計 | 3000.00 | 30万分の30万 |
各住戸の床面積に差がないような場合、規約で「住戸1戸に1つの議決権」としておけば、煩わしい計算から解放されます。
議決権の行使
組合員は、原則として、総会に出席して議決権を行使します。
総会に出席できない場合でも、次の方法により議決権を行使できます。
- 代理人により議決権を行使する方法
- 書面により議決権を行使する方法
住戸1戸を共有する場合の議決権の行使
住戸1戸を数人で共有する場合、その1人が代表して議決権を行使します。
住戸1戸を数人で共有する場合は、議決権の行使にあたっては併せて1人の組合員とみなされるため、共有者間で議決権行使者を1人選任し、事前に理事長に届け出なければいけません(標規46II)。
総会の決議事項
総会は、次の事項について決議することができます。
- 専有部分の使用に関する事項
- 敷地・共用部分・附属施設に関する使用・変更・管理に関する事項
「専有部分の使用に関する事項」の決議例としては、ペット飼育の可否に関する規約制定などが挙げられます。
「敷地・共用部分・附属建物に関する使用・変更・管理に関する事項」の決議例としては、手すりの設置などが挙げられます。
総会においては、原則として、あらかじめ通知された「議題」についてのみ決議を行うことができます。
通知した議題のみ決議できるのは、不意打ち防止のためです。このため、議題は決議事項の内容を特定できる記載にする必要があります。
標準管理規約には決議事項が列記されており(標規47III・48)、これらの記載に具体的内容を加味したものが、議題となりえます。
上記決議事項については、決議要件の解説と併せて記載します。
総会の決議要件
多数決の判断基準となる決議要件は、決議事項の内容により異なり、具体的には次の4種類があります。
- 普通決議
- 特別決議
- 建替決議(説明省略)
- 再建決議(説明省略)
普通決議
次の表に掲げる事項について決議を行う場合、議決権総数の半数以上が出席する総会で出席組合員の議決権の過半数の賛成が必要です。なお、この要件は、規約により変更できます。
専有部分 |
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共用部分等 |
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専有部分と 共用部分等 |
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特別決議
次の表に掲げる事項について決議を行う場合、重要な内容で慎重に行う必要があるので、要件が加重されます(必要賛成数増加・その他要件追加)。
専有部分 |
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---|---|
共用部分等 |
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専有部分と 共用部分等 |
|
特別決議を行う場合は、組合員総数の4分の3以上および議決権総数の4分3以上の賛成が必要です。なお、規約により「組合員総数」を過半数まで縮減することができます。
また、各決議事項によって、次の要件が追加されます。
決議事項 | 議案の 要領 | 特別の 承諾 | 弁明の 機会 |
---|---|---|---|
使用禁止・競売請求・対占有者引渡請求訴訟 | ー | ー | 必要 |
形状又は効用の著しい変更を伴う変更 | 必要 | 必要 | ー |
大規模滅失の復旧 | 必要 | ー | ー |
規約の制定・変更・廃止 | 必要 | 必要 | ー |
- 議案の要領
- 総会の招集通知に「議案の要領」を記載する必要があります。
- 特別の承諾
- 一部の組合員に特別の影響(不利益)を及ぼす場合、その一部の組合員の「特別の承諾」が必要となります。
- 弁明の機会
- 被告となる組合員・占有者に対し、決議前に「弁明の機会」を与える必要があります。
総会決議の効力
総会の決議の効力は、次の者に生じます。
- 区分所有者全員…決議反対者も含む
- 区分所有者の相続人など(包括承継人)
- 区分所有者からの専有部分買受人など(特定承継人)
- 建物・敷地・附属施設の使用方法につき同居者など(占有者)