総会開催の前提知識(総論)
イントロダクション
- マンション管理に関する公的ルール
マンションに関する公的ルールに関する説明
標準管理規約の変更について- マンション管理組合の組織
マンション管理組合の3つの組織に関する説明
3組織のひとつである総会の概要について- 総会の種類
通常総会と臨時総会に関する説明
- 総会の参加者
総会の参加者に関する説明
総会の構成員(議決権者)と出席権利者について
マンション管理に関する公的ルール
当コンテンツは、マンションの管理に関する「公的ルール」と「実務経験」に基づき、適正かつ低負担の総会の開催を目指して解説していきます。
「公的ルール」とは、民法・区分所有法などの法令と、マンション標準管理規約・マンション管理標準指針などの国土交通省策定ルールを指します。
当コンテンツでは、区分所有法を「法」、標準管理規約を「標規」、管理標準指針を「標指」と略称します。
標準管理規約の変更
標準管理規約は、全国の平均的なマンションを想定して策定されています。総会の決議により変更することもできます。
標準管理規約は、いわば「たたき台」です。マンションの現状に合わせて変更しないと、かえって不都合が生じます。
マンション管理組合の組織
一般に、マンション管理組合には3つの組織があります(標規40・41)。
- 1. 総会(集会)
最高意思決定機関です。管理の方向性を決定します。
株式会社に例えると、「株主総会」に該当します。
具体例:管理費増額の決議
- 2. 理事会
業務執行機関です。具体的な管理業務を行います。
株式会社に例えると、「取締役会」に該当します。
具体例:増額管理費の徴収・管理
- 3. 監督機関
理事会の業務執行監査や会計監査を行う機関です。
株式会社に例えると、「監査役」に該当します。
具体例:管理費徴収の監査・管理費運用状態の監査
区分所有法上は、理事会や監督機関の設置は任意です(法3)。小規模のマンションであれば、これらの組織の設置は必要とはいえません。
総会の概要
総会は、マンションの使用・管理・変更に関する事項について、意思決定(決議)を行う機関です。総会には開催時期に応じて2種類あり、組合員が議決権を行使して多数決決議を行います。
議決権・決議事項・決議要件・決議の効力については、当コンテンツ総会開催の前提知識(決議)をご覧ください。
総会の種類
総会には、「通常総会」と「臨時総会」の2種類があります。
- 1. 通常総会
通常総会は、定例的に開催する総会です。
年1回は開催する義務があり(法34II)、マンション標準管理規約によれば、「新会計年度開始以後2カ月以内」に招集することになっています(標規42III)。
少なくとも収支決算・事業報告および収支予算・事業計画について決議を経ることが必要です。
- 2. 臨時総会
臨時総会は、必要に応じて臨時に開催する総会です。
通常総会は理事長が理事会の決議を経て招集しますが、臨時総会は監事・組合員にも総会招集権が認められる場合があります。
総会の参加者
総会の構成員
総会の構成員(議決権者)は、管理組合の組合員全員です。
管理組合には、区分所有者となったとき(マンション購入時)に当然に管理組合に加入し、区分所有者でなくなったとき(マンション売却時)に当然に管理組合から脱退します。
管理組合の運営が気に入らないからといって、任意脱退は不可能です。
同居人・賃借人は構成員ではなく、議決権はありません。
総会への出席権利者
総会には、次の者が出席できます。
- 管理組合の組合員全員
- 管理組合の役員
- 理事会が必要と認めた者(標規45I)
- 管理会社、管理員、マンション管理士などが該当
- 区分所有者の承諾を得て専有部分を占有する者が意見陳述する場合
- 同居人・賃借人などが該当
- 建物・敷地・附属施設の使用方法に関する決議につき、占有者が利害関係を有する場合に限られる
- 事前に理事長に上記の旨を通知する必要あり(標規45II)
占有者(同居人・賃借人)が総会に出席できる理由は、建物等の使用方法について、区分所有者が規約・総会決議に基づいて負担する義務と同一の義務を負うため、総会上の意見陳述権が認められているからです。
直接利用者である占有者の意見を組合運営に反映させることは大切です。利害関係がない場合でも、「理事会が必要と認めた者」として出席させるなど、場合によって適切な配慮をすることが望まれます。